スポーツパフォーマンスにおける力の出力と呼吸の仕方には密接な関係があった!
『 吸う 』『 止める 』『 吐く 』呼吸のリズムと強弱をテンポよくすることで、肉体的に力強くなり精神的に安定してくるものです。
そう、呼吸とは肉体と精神を連動させる重要なポイントなのです。
スタミナがない、肝心な所でいまいちパワーが出ない・・・といった悩みを解消させるには今一度、呼吸法に焦点を当ててみてはいかがでしょうか。そこで今回は、
- スポーツパフォーマンスにおいて呼吸は、どんな影響を与えているのか?
- どんな呼吸をしたらより力が発揮されるのか?
といった興味深い視点で深掘りしていきたいと思います。
これは1つの身体的な「 技 」であり、鍛錬によって誰でも習得できるものです。
目次
逆複式呼吸法とは
日本には古来より呼吸( 息 )固有の文化がありました。腰、肚を中心として腹で深い息をする。よく言う「 腹式呼吸 」といわれる呼吸法なのですが、呼吸によって身体と精神を結び付けていく文化です。
これは古代インドから発祥したヨガが源流になっていますが、呼吸が身体的能力を上げ、更には心の在り方、心理状態にも影響を及ぼす重要なツールだということです。
基本的な呼吸のやり方は、臍下丹田( お臍の少し下あたり )に意識を向け、お腹を膨らませながら吸い込みます。そして今度はお腹をへこませながら、ゆっくりと吐いていきます。横隔膜を使って腹の力で深い呼吸をすることで副交感神経を活発にし精神安定に役立ちます。落ち着いた状態というやつですね。
このオーソドックスな呼吸法を応用したのが『 逆腹式呼吸法 』なのですが、お腹を膨らませて吸込み、ここからが逆、吐く時に更にお腹を膨らませて張らせます。
精神を落ち着かせるには『 腹式呼吸 』も良いのですが、ことスポーツパフォーマンスにおいて目的に応じた力の出力を最大限に上げるには『 逆腹式呼吸 』が有効なのです。なぜなら・・・
身体感覚にとって、そのカギとなるのが腹圧を高めることだからです。
腹圧を高めるメリット
腹圧とは・・・内臓が収まっている筋肉で囲まれた空間を腹腔と言いますが、その周りの腹筋群と横隔膜の収縮によって生じる腹腔内の圧力のこと。
お腹を張らせて呼吸する逆腹式呼吸で腹圧をかけていくと、体の中心が正しい状態でキープされ腰が据わって安定されます。
この状態を作ることによって次のようなメリットが生じます。
- 中枢神経の通りが良くなり、脳神経からの信号がスムーズににいって体が使いやすくなる。
- 体の負担が少なくなり、重心から動ける効率の良い体になる。
- 自律神経が活性化され、感情コントロールができるようになる。
体幹の強化・安定に繋がり、筋肉の連動性や筋力出力を向上させるのに役立ちますね。( 片足立ちをして腹圧呼吸をしてみると、より体の安定感が増すのが実感できると思いますよ。)
過去、一芸に秀でたアスリートは呼吸( 息 )に意識を向け身体をコントロールしていたという例はたくさんあります。例えば・・・
往年の名投手・南海ホークスの杉浦忠投手( 1958~1970 通算187勝 )入団2年目にはシーズン38勝、防御率1.40という驚異的な成績で南海を優勝に導きました。そのアンダースローからの圧巻な投球の秘訣は、腹筋の強さにありました。
『 リリースの瞬間、ゆっくり腹筋を締めていくか、グゥと瞬間的に強く締めるかでスピードの強弱をつけていた。速いボールを放るときにはハーッと息を吐いてグゥと腹筋を締めるです。』と語った。
また打撃の神様・川上哲治氏はバッターボックスに入って構えてからは微動だにしなかった。その理由はある1点にに集中していたからだ。それは相撲の双葉山( 69連勝の大記録を持つ大横綱 )から立会いの時のアドバイスを受けた呼吸法だった。
息を吐き重心を安定させて、投手の動作にタイミングと呼吸を合わせていたのです。
こと格闘技の世界においては、腹圧はボディのエアクッションの役割を果たすため非常に重要だ。ボディブロー1発!鮮やかに決まり、相手は濃い唾液を吐き、エビのように体を折り曲げたままカウントアウトというシーンを偶に見かけます。
これは息を吐いて吸った瞬間、体の空気を吐き終わった時点に打撃をもらうと衝撃が大きいのだ。
このような力の配分は、全て腹圧の強弱に関係しています。この腹圧を高める逆腹式呼吸をすると、自然と肩が落ち、腰が据わって足腰に力が入るということです。
では逆腹式呼吸の実践的講座に移っていきましょう!
逆腹式呼吸の正しいやり方
まず意識は前述した臍下丹田( お臍の少し下あたり )に向け、リラックスした状態で始めます。
- 下腹部を膨らませながら鼻で吸い込んでいきます。
- 口からゆっくりと吐きながら、下腹部を張らせて吐き切ります。( お腹に風船が入っているイメージで風船を膨らませる感じです。)
- 最後に肛門を締めます。
重い物を持ち上げる時や排便する時に自然と行っている呼吸とほぼほぼ同じ感覚ですが、ポイントは吐くときに、より腹圧をかけていく点です。
どうでしょうか?重心が下腹部に集中して、どっしりとした感じになりませんか。
腹圧を高めるトレーニング
動きに合わせた逆腹式呼吸法に慣れてきたら、より腹圧を高めるためのトレーニングを加えていきましょう!
ここは身体能力のスペシャリスト・400mハードル日本記録保持者、為末大氏の動画が参考になりますのでアップします。
腹圧をしっかりかけて丹田を鍛えていくと、肩の力が抜けて肚がどっしりしてきます。
あとはパフォーマンスにおける動作に呼吸を合わせていく感覚を身につけていけば、力の入れ具合がフィットして、よりパワフルになるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか、呼吸というのは人間の持っている力の何倍もの力を発揮させるものです。肚というのは精神が宿っている場所ですので、呼吸により心構えが決まってくる肝心なポイントとなるでしょう。
ポイントは、いかに吐くか!ですね。
呼吸が浅くなる( いわゆる胸呼吸 )は、横隔膜の動きが少なく充分な腹圧をかけることができなくなりますので、集中力がなくなり脳が疲労してきます。
安定して腹圧をかけた息の力が、正確かつ冷静なプレーに繋がることを肝に銘じておきましょう。
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