アスリートの肉体作りにおいて、食事は非常に大切な要素です。
『 何を食べるか。』食材の選択は、厳選して選びたいものです。 食べたものが血肉になっていくと考えれば納得ですね。
今回は、日本人も摂取することが多くなったパン、パスタなどの ” 小麦製品 ” について考えていきたいと思います。
テニス王者・ジョコビッチ選手も実践し、今や各界トップアスリート達も注目する『 グルテンフリー 』とはどんな食事法でどんな効果があるのか?を分析していきます。
目次
グルテンフリーとは?
小麦をはじめとした穀物のタンパク質主成分である『 グルテン 』を除去した食事のこと。
グルテンとは小麦にある「 グリアジン 」と「 グルテニン 」という2つのタンパク質を水でこねると出来ます。主な製品としては、パン・パスタ・うどん・お菓子・ケーキなどが挙げられます。
パン食、麵類などは戦後アメリカGHQの余剰小麦政策で大量に日本に入ってきましたね。学校の給食に見られるように強制的に日本人の食生活は、それまでの日本食から欧米食に変えられていきました。
では、なぜこのような小麦製品が良くないかというと、この『 グルテン 』が体に悪さをするんですね。
グルテンのデメリット
まずグルテンは、モチモチしていて消化に悪いというところです。
胃の中に入って胃酸や酵素によって消化されると、ポリペプチド( 2~50個のアミノ酸が化学結合により繋がった分子 )に分解されます。
分解されにくい小麦のポリペプチドタンパク質は、腸の粘膜に貼り付いて異物となって残り、腸壁に炎症を起こさせる原因になります。
これが酷くなると腸管壁の細胞間の結合部分が緩くなって、普通ならば体外に排出されるべき毒素が血中に流れ出てしまいます。
これがリーキーガット症候群といって『 炎症誘発物質 』が漏れ出て全身に回ってしまうことで、アレルギーなどのさまざまな症状を引き起こすのです。
つまり、速やかに消化を行い、栄養吸収に重要な腸内環境を悪化させる要因になることがわかっています。
そしてもう1つは、やはり胃のペプシンやトリプシンといった消化酵素で分解されると、エクソルフィンという快楽報酬系のポリペプチドにも分解されます。
この麻薬のような快楽報酬物質が、『 脳の血液脳関門 』を突破してしまうと、脳のモルヒネ受容体と結合して麻薬と同等の中毒症状を引き起こすことが判明しています。
快楽を感じる物質ですから食べたときは多幸感が生じ、その快楽は A10神経を通って前頭前野の側坐核を刺激して大量のドーパミンが出るんですね。それは『 また食べたくなる。』回路が強化されて小麦依存症に陥っていく負のスパイラルができ上がっていくということです。
これら述べたような要因で起こる症状は、免疫システムを司る腸と神経系統に重要な脳に多大な影響を与え、小麦アレルギーや慢性的な疲労感、集中力・判断力の低下を招く恐れがあり、体調不良が著しく悪くなる可能性が大きいということです。
テニス王者・ジョコビッチのグルテン不耐症例
男子テニス界の王者・ノバク・ジョコビッチ選手の強さの秘密は、食事だった。
過酷なトレーニングを積んできたが体調が優れず力を発揮できない・・・特に試合終盤になるとスタミナが切れたように体に変調をきたし、集中力に欠けてしまう状態が続いた。
試合での大切な場面で呼吸困難の発作がでたり、足が棒のようになりスピーディーな反応が鈍るなどの変調に悩んでいました。この変調は何が原因なのか・・・
その原因こそがグルテン不耐性( 小麦に対して過敏に反応してしまう病気 )だったんですね。
以後、小麦製品や乳製品を一切取らない( グルテンフリー )への食事に変えて、強靭なフィジカル・メンタルに生まれ変わったと言います。『 ジョコビッチの生まれ変わる食事 』から
本書の中でジョコビッチ選手は『 食物は情報だ!食べ物がどのように自分の体とコミュニケーションを取っているか?どのように反応しているか?に意識を向けて耳を傾けよう。』と言っています。
『 何を食べるかは、肉体と精神に最高のパフォーマンスをもたらす重要なファクターだということですね。』
そういえばメジャーリーグで活躍する大谷翔平選手も、血液検査で小麦アレルギーの反応が出た為、グルテンフリーの食事に変えたそうですよ。
では、小麦製品に含まれるグルテンが体に良くないのはわかったけど、一体どんな食事を取っていけばベストなのでしょうか? 1つ参考になるレポートがあります。
マクガバンレポート
『 食の改革 』・・・これは1970年代後半にアメリカ上院議員・マクガバンが、医療費の増大を防ぐため連邦政府に提出した5000ページにも及ぶ食のレポートです。
実際、当時のアメリカは肉・小麦食品が主流でした。
『 その食習慣が癌や心疾患、脳卒中ならびに肥満人口の増大の原因であり、これらは食源病である。間違った食生活を改善しない限り、アメリカは病と共に滅ぶだろう。』と一括しました。
何を食べたらいいのか、何を控えたらいいのか・・・レポートを基にアメリカ政府は、食育政策に取り組んでいきました。結論を言いますと、その改善のためには動物性食品を減らして植物性食品を増やすことでした。
つまり、肉食・加工食品を避けて、野菜・果物中心の食事に変えることだったんですね。そしてレポートの中で1番理想的な食事例は、元禄時代( 江戸時代中期 )以前における日本食だと指摘しています。
元禄時代の食事って… 粗食ですよね。。” 一汁三菜 ”とか言いますけど、調べてみました。
- 主食は玄米か雑穀米。そして味噌汁( 具に野菜。)
- おかずに煮物・海藻や魚介類( 焼き魚など )
- ぬか漬け、沢庵
ボリュームはないですが、栄養バランスは完璧ですね。
まず主食の玄米とは『 未精白穀物 』です。米は稲という植物の種ですが、もみ殻という殻に包まれています。このもみ殻の部分だけを取り除いたのが『 玄米 』。
私たちが現在食べている「 白米 」は、そこから更に「 ぬか 」と「 胚芽 」まで取り除き胚乳だけになったものです。しかしこれって勿体ないんですね。
何を隠そう米は、この外側の「 ぬか 」と「 胚芽 」にビタミンやミネラルの95%の栄養分が集中しているからです。更に精製されていない玄米の栄養素には、炭水化物は勿論、タンパク質・食物繊維・脂肪がバランス良く入っています。
そして、味噌汁やぬか漬けといった発酵食品。このような大豆やぬかを発酵させた食品には、多くのアミノ酸が含まれています。また海藻類もアミノ酸の宝庫です。
魚にはタンパク質と体に良い『 不飽和脂肪酸 』のヘルシーな油が含まれています。
人間の腸ではタンパク質を最小単位のアミノ酸まで分解してから腸壁で吸収し、そのアミノ酸を体内で再合成して人間に必要なタンパク質に変えていますから、 たとえ肉を食べて動物性タンパク質をたくさん取らなくても十分な摂取量になるでしょう。
まとめ
小麦は古代から食べられてきた食材ですが、1940年から1960年代にかけて、さまざまな品種改良や化学肥料の大量投入などで穀物の大量生産を達成させました。
が、この時に行われた品種改良は、遺伝子操作です。
確かに病気や環境に強い、生育期間も短く生産性を向上させましたが、この品種改良によって現代の小麦には 古代種と比べるとグルテンタンパク質が過剰に含まれるようになってしまいました。
こういった食物の現状を十分考慮して、栄養摂取の意識を高めたいものです。
『 何を体の中に取り入れて肉体を作り、体調管理をするか。』はアスリートにとって大切な準備です。
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