2021年、日本が世界に誇る大谷翔平選手がメジャーリーグにセンセーションを巻き起こしました。
ベーブルース以来103年ぶりの二刀流という離れ業で投打にわたり大活躍。9勝&156奪三振・46HR&100打点&26盗塁の成績を残しシーズンMVPを受賞、本場メジャーリーガー達を席巻しました。
その内容が100マイル( 161㎞/h )を超えるストレートでバッターを翻弄し、打っては打球速度185km/hの弾丸ライナーで飛距離140m級のホームランを46本もぶち込み、走ってもチームトップの26盗塁。
攻守走で大車輪の活躍は、絶対に勝てないと言われていたメジャーのパワーを、まさにパワーで凌駕したと言ってよいでしょう。そんな常識を覆すような選手が現実、日本から出てきたんですね。
このメジャーリーグトップに君臨する規格外の肉体とパワーは、どのようにして造り上げてきたのでしょう?
今回は、大谷選手の肉体改造とトレーニングの秘策について焦点を当てていこうと思います。
目次
成長期での骨格形成
現在193cm・102kgとアメリカ人にも引けを取らない堂々たる体格ですが、プロ入り当初は70kg台の細身な感じでしたね。しかし身長は高校時代から190cmを超えていました。
中学・高校時代の成長期に『 190cm以上の身長と手足の長い骨格を造り上げていた。』ことがその後のパワーアスリートになっていく上で大きな要因の1つなっていると思います。なぜなら将来100kgを超える体重と筋肉量で勝負する場合、それに耐えうる骨格が基盤となるからである。
特に『 野球というボールやバットにいかにパワーを伝えるか。』というスポーツの性質上、体の捻りの動作が重要となってきます。捻りのパワーを生み出すのに必要なのは弾力性のある筋肉です。
筋肉の弾力性の強さは、筋の太さより長さに正比例するので長い筋肉のほうがパワーを伝えるのに有利なんですね。だから筋肉をつける骨を長くした方がいいです。
そう、大谷選手は小さい頃、水泳をやっていたそうですね。水泳はあらゆる関節を動かす全身運動です。そのトレーニングが身長を伸ばすのに効果的だったんですね。更にカルシウムやそれを骨に沈殿させるマグネシウムの豊富な食事をご両親が考えていたのでしょう。
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かつてイチロー選手が『 野球選手の筋トレについて 』の対談でこんなことを言っていました。
『 人間には自分の持っているバランスがある。本来のバランスを保っていないと筋肉は大きくなるけど、それを支えている関節とか腱は鍛えられないから、肥大させただけでは耐えられなくなって壊れてしまう。』
バランスを保った筋肉量が大切ということですね。だからパワー選手を目指すのならそれだけの骨格が必要となってきます。筋肉ばかりデカく太くしても、それを使いこなせなかったり、故障やケガが増えたりしたら本末転倒ですから。清原選手とか過去にそういった事例はたくさんあります。
そして野球選手としての育成に大事な時期に必要な要因が・・・
良い指導者との出会いと将来的な練習プラン
ここでは花巻東高時代の監督である佐々木洋監督の指導法が外せません。
岩手県有数の強豪校である花巻東高校は、もうプロ野球球団並みの選手育成プランです。選手一人一人の将来性を考えて、個性・能力を最大限に伸ばす指導をモットーに個人に合ったアドバイス、練習メニューを作っています。
大谷選手の場合、そのたぐいまれな才能を認められていたのもあるかと思いますが、190cm近くあった身長は『 まだ伸びる 』という判断で、ケガ予防を考えて無理をさせない練習メニューを行っていたといいます。
『 160km/hのストレートを投げる。』という目標を掲げていたのですが、その目標に長い目で練習プランを立ててくれるなんて羨ましい限りです~。
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私( 筆者 )の昭和時代の野球部は、ほとんど監督・コーチの絶対的存在に服従の下、しごかれヘロヘロになりながら、その日の練習をこなすのに精一杯の毎日で体を大きくする暇もない感じでしたから・・・時代が変わったんですね。。
そんな環境で野球に邁進できたのが、現在の大谷選手を造り上げているのだと感じます。
ウエイトトレーニングによる肉体改造
プロ入りしてから本格的にパワーアップに励みました。ダルビッシュ投手のトレーニング塾にも参加していましたね。メジャーを視野に入れての着実な準備だと思います。
何せメジャーはパワー野球が評価されます。アメリカのスポーツ文化はパワーですから、まずはアスリートとして全身の筋力を鍛える。
オーソドックスなウエイトトレーニングで筋肉量を増やして、その筋肉を野球の動きに適した瞬発系の筋肉に転化していき、メジャーで通用する体の大きさとフィジカル( 身体的能力 )の強さを確実に上げていきました。
大谷選手のトレーニング内容は、あまり公表されていないのですが、少ない情報から推測されるのは
- ベンチプレス
- スクワット
- デットリフト
- ダンベルやチューブを使ったトレーニング
が主だと思います。
これは大谷選手のトレーニング風景の動画ですが、2021年シーズンの活躍を支えたメニューの一部です。
筋力を上げるということは筋肉を大きくするだけではなく、野球の正しい動作の中で必要なパワーを発揮できる力をつけるということ。大谷選手の場合は二刀流ですから投打両方やらなっきゃいけない。
どのようにトレーニングやメンテナンスをしていくかが難しい・・・ そこでテーマを
『 一瞬で最大限のパワーを発揮する。』ことを主眼にして、『 投打両方に必要な基本的なトレーニングを繰り返した。』と語っています。
具体的には動画の中でもシーンがありましたが、エキセントリックトレーニング( 自己負担80%以上の負荷をかけて行う瞬発系のジャンプやウエイトトレーニング )を積み重ねていきました。
ブルガリアンスクワット、ランジなどで徹底的に下半身強化に励み、更には重さの違う4種類のメディシンボールを投げていましたね。
投打にわたる二刀流にも耐えられる体力と技術は、柔軟性のある筋肉量を増やしていったことが要因だと感じます。
そしてもう1つのパワーの源であるのが・・・
大谷選手の『 食事 』の秘密
食べたものが血肉となりエネルギー源となっていくことを考えれば、日ごろの食事は疎かにできません。
高校時代は、どんぶり飯を1日13杯も食べて20kgも体重を増やしたそうですが、現在は栄養管理士が付いて1日4500カロリー( 一般成人の平均は2200カロリー程度 )毎食60gのタンパク質摂取をしています。
具体的には野菜・魚介類・脂質の少ない肉( 鶏胸肉、ささみ、豚ヒレ肉など )を中心に果物や乳製品をも含むフルコースです。
更にタンパク質摂取には、プロテインを飲用。こちらは高校時代から飲んでいるようですが、愛飲しているのは明治のプロテインブランド『 ザバス 』ホエイプロテインGP
こちらはタンパク質以外にも各種ビタミン・ミネラルも豊富に含まれています。
大谷選手はココア味が好きらしいです。美味しいみたいですよ。。
大谷選手みたいな肉体を目指したい方は↓↓↓どうぞ。
大谷選手は甘い物は好きですが、お酒はほとんど飲みません。世界一流のプレーヤーになるためにトレーニング以外でもパフォーマンスに悪い影響があることは節制する凄まじい肉体管理が伺えます。
大谷選手『 技術 』と『 パワー 』の秘訣
大谷選手の技術面で凄いのは、特にバッティングでの『 ノーステップ打法 』です。普通は足でステップを踏み、手はヒッチなりコックを使い反動をつけてから振り出します。
要するに動き出したものをアジャストさせていく方が力が入るんですね。しかし、大谷選手の動作は、左肩とグリップの位置がほとんど変わらず、ノーステップで身体の内部から捻りを加えています。
このノーステップ打法は、やってみるとわかるのですがタイミングを取るのが難しい。また
体重移動を余りしないのでボールにコンタクトしやすいというメリットもありますが、先に足をついて待った状態からスイングに入るので力が入らない( ボールが飛ばない )デメリットがあります。
これはメジャーのピッチャーが主流とする『 ムービングファーストボール 』と呼ばれる手元で微妙に動くストレートに対応するためだと思いますが、止まった状態から反動を使わずフルスイングに転換させるパワーをつけることでデメリットを克服し、140m級の飛距離を生み出しました。
凄まじい肉体のパワーですが、その中でもずば抜けて強靭な部分があると感じます。その部分とは・・・
強靭な腸腰筋の強さ
腸腰筋とは、腰椎から大腿骨までを繋ぐインナーマッスル筋です。場所はお腹の後ろ側にあるこの辺り↓↓↓
下半身と上半身を繋ぐ筋肉群ですから、下半身からの力を上半身へと連動させる大変重要な筋肉です。
瞬発力とバランスを保つために必要な部分なので、瞬時に最大限のパワー出力を要する野球選手にとっては腸腰筋の強さは必須です。大谷選手のノーステップ打法や走力から見ても、間違いなく腸腰筋が人一倍強いはずです。
その強靭な強さはデットリフト225kgを挙げるパワーにも表れています。こちらがその動画です。↓↓↓
ノーステップ打法と一緒に見てみましょう。
腸腰筋は、股関節の屈曲や足を踏ん張る動作に影響しますので、状態の安定とパワー連動のため鍛えておきましょう。
強靭な腸腰筋にするためのエクササイズです。参考までに。
まとめ
こういう常識を覆すような選手って何かが違いますねぇ。特にその『 考え方 』が異質な部分があり次元の違いを感じます。
普通これだけの名声とお金を手にすれば少しは遊びたくなるものですが、大谷選手は普段いつもジャージ姿で朝から晩まで野球のことを意識してトレーニングしています。まるで高校の合宿みたいな生活です。本当、頭が下がります・・・
投打にわたる二刀流がいかに大変なことか、それは今まで100年以上も そういった選手が出てこなかったことが物語っています。両方とも世界最高峰のレベルなのだから。
ピッチャーで投げた翌日なんかは通常、疲労で体重は3~4kg減って、体は筋肉痛でバリバリになるはずですよね。それを回復させるのって大変なんですけど、、次の日にはニコニコした顔でバッターボックスに入ってホームランかっ飛ばしてるんですよ!
それ以前の準備だって当然あるし。もう信じられないです。不思議です。
だから1試合くらい投げても有り余ってるんじゃないかと、体力が?それほどのフィジカルの強さと体力を地道に造り上げてきたんですね。積み重ねがないとこんな芸当は不可能ですから。
この大谷選手の残した業績は、100年を超えるメジャーリーグの歴史の中で唯一無二のパフォーマンスだったことは確かです。
元祖二刀流のベーブルースとの比較に元ヤンキースのスーパースター、アレックス・ロドリゲスは『 ベーブルースでさえ40本以上のホームラン、20盗塁、100マイル( 161km/h )のストレートは投げていない。どれだけ凄いことか。』と絶賛しました。
今まで日本球界からメジャーで活躍した選手は何人もいますが、何か大谷選手には胸が熱くなるものを感じます。こんな100年に1人と言われる選手のプレーを来年以降もリアルタイムで目に焼き付けておきたいものです。
\ 大谷選手を応援しよう!/
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