ネゴシエーターとは・・・「 交渉人 」の別名。戦争・領土問題・紛争など国際問題を解決させるために交渉に挑む国際的交渉人のこと。
その最高峰は、「 世界の最高学府ハーバード大学ロースクール (PON) 」。世界のさまざまな紛争解決のための交渉術・理論が研究され、人材が育成されている。
又、アメリカ連邦捜査局FBIでは、人質をとった凶悪犯や自殺志願者など人命に関わる交渉なども行う。
国際問題や人質解放などの大きなプレシャーがかかる場面に挑む交渉のプロフェッショナルな人達のことですね。
我々一般人は、そんな大きな交渉事をすることはありませんが、日々暮らしていく日常の中でも交渉しなければならないことはあるものです。
ビジネスで自分の意見を認めてもらいたい、恋愛でも異性に要求を受け入れてもらうのに・・・
『 人を説得したい 』『 思いどうりに動かしたい 』と思うことは日頃よくあることです。
私たちのコミュニケーションの大半は『 話を聞いてほしい 』『何かしてもらいたい 』という説得を目的とした交渉なのではないでしょうか?
でも、どうしたら交渉というのは上手くいくのでしょうか?
そこで、失敗が許されない究極な場面に挑む世界最強のネゴシエーターのテクニックを紹介していき、相手の気持ちを『 NO 』から『 YES 』に変えていく秘訣に迫っていきたいと思います。
目次
相手の心を動かす秘訣
交渉というのは当たり前ですが相手があるものですから、自分よがりなストレートの要求、行動では上手くいきません。
それはそうですよね、相手にも考え方や興味、その必要性があるのだから。
人の心を読んで自分の意のままに動かすのは・・・とても難しいような感じがしますね。
ここで最強交渉人ネゴシエーターは、こう言います。
『 人の心を動かすにはセオリーがあり、科学的に裏づけられた原則とテクニックを身につければ誰でも心を動かす交渉ができる。
なぜなら、人の抱えている問題、悩みは色々だが、脳のメカニズムは誰でも同じだから。』
ん~なるほど。で、その原則とは・・・
車で坂道を登るときのギアチェンジで上手く説明してくれます。
急激な坂道に遭遇してタイヤが空回りし始めたらどうしますか? そう、ギアを低い方にシフトして、その状況に適した力の状態にしますよね。
コミュニケーションでも空回りするなら、まずは自分をシフトダウンしなければならない。と。
ところが往々にして交渉事になると人は、『 思い通りに 要求を通したい !』と感情的になり、ますますシフトアップさせてしまいます。
これでは車はエンストして止まってしまいますよね。では、交渉においてシフトダウンとはどういったことなんでしょうか?
まとめてみます。
- 自分の感情をコントロールして、相手の話をよく聞く
- 共感・共鳴する
- 別の言葉に置き換える
- 質問する
1.相手の話をよく聞く
まずはここですね。人は説得されればされるほど拒絶する。
心理的リアクタンス( 自由を回復させる反発作用 )が起こります。
人から何かを強制されれば反抗心を持ちやすいし、『 自分のことは自分で決めたい。』という欲求があります。
まずは話を聞こうとする姿勢がとても大切になってきます。
2.共感・共鳴する
人間にはミラーニューロンという神経細胞があります。これは他者を理解するときのメカニズムで、脳内において他人の行動・行為を見て、あたかも自分自身の行動だと『 共鳴 』する神経細胞のこと。
これによって人間は、他人が泣いていれば悲しくなるし、スポーツや映画を観て感動し相手と同じ気持ちになれるわけです。
なので逆に言うと、そこに共感や共鳴がないと凄いストレスになってしまうんですね。
人間どんな人にも認められたいという『 承認欲求 』がありますから、相手の気持ちに対して理解を示すということが大事になってきます。
これはすぐに同じ意見を持つ「 同意 」とは違って、あくまでも理解しようとする態度のこと。同意や同賛ばかりしていると交渉事では付け込まれる可能性がでてきますからね…
具体的な言葉でいうと、『 わかります。』『 そうなんですね。』『 確かに。』などですかね。
相手を肯定するということです。99%違う考えでも1%の共感できる部分に焦点を当てていきましょう。
そして更に深く理解をしていくには・・・
別の言葉に置き換える
話をよく聞き相手を見ていると、相手が今どんな感情になっているのかがわかってきます。
もし相手が上手く言い表せないようだったら、そういった感情的な部分を言語化する、言い換えてあげる。つまり具体的にしてあげます。
すると相手側からしてみれば自分を理解してくれる人として、より深い共感を得られます。もし思いつくのなら『 それは○○みたいなことですよね。』と具体例を出してあげれば『 そう、そう!』となります。
モヤモヤした気持ちがスッキリして、もっと話したくなってくれればベストです。
質問する
共感して欲しいという脳の本能的な欲求を満たしてあげることは、『 自分に関心を抱いてくれている人だ。』と感じますから『 もっと知りたい!』という質問を投げかけていきましょう。
そこで共感されると嬉しい人間の3つの部分にフォーカスしていきます。
まずは『 どう思っているのか?』という感情的な部分。そして思考的なところで『 どういう考え方なのか?』3つ目が『 どうしたいのか?』という行動。
ここに共感されれば相手は満足します。
人の気持ちややっていることにストレートに土足で入っていかないように、まずはやんわり質問してみるというスタンスでいきましょう。
いや~ここまでやって、はじめてただの交渉じゃなくコミュニケーションとしての対話に持ち込めるのですね・・・忍耐が必要です。
手強い交渉相手を協力者にするには
世の中『 困った人 』というのはいるもんです。
聞く耳を持たない相手、すぐ感情的になってキレかかる人・・・いますよね。
そんな堅物な人は感情が動物的になっていますから、すぐさま人間の脳に戻してあげましょう。
でも、どうやって?
まず、相手がそのような態度をとっている本当の理由は何なのか?その裏に隠された事情を探り出さなければなりません。
なぜ『 NO 』なのか… それは怒りなのか、敵対意識か、それとも猜疑心が原因か。
上記で述べた方法で歩み寄り、傾聴し出来る限り相づちを打ちながら理解を示していく。
そもそも俗に言う『 困った人 』というのは周りから無関心にされて話題の中心になれないから不満を抱えているのです。無視されたりしたら更に悪化の一途をたどります。
なので相手の存在価値を認めてあげるところから慎重に進めていきます。
ここでとても参考になるのが、FBIが挑む人質解放での犯人とのやりとりです。
これはキレかかっているどころか完全にキレている相手との交渉ですね。人質の命がかかっている絶対に失敗が許されない場面です。
まずステップ1で『 話がしたい、君の将来を一緒に考えよう』とやんわり語りかける。
そしてステップ2で『 何でこんなことになってしまったか話してくれないか?』と感情を吐き出させる。
だが『 お前たちに何がわかる!』と拒絶反応がほとんどです。ここからステップ3へと移ります。『 今まで頑張ってきたのに誰にもわかってもらえない、そう思ってるんじゃないか?』と相手の心情を察して理解を示す。そして要求を聞いていきます。
だんだん相手は傾聴の段階に移っていく。感情脳が優先している状態から理性が働く人間の脳に変わるのを待つ。
ステップ4では『 何もいいことなんてない… うまくはいかなくてヤケになってしまったんだな。そういうことか?』とにかく相手が『 そうだ!』と小さなYESを引き出すまで根気強く続けていく。
『 もっと話してくれないか』と気持を聞いて一緒に解決策を探していき、よき理解者として救済への選択に導いていく。
骨の折れる仕事ですが、人間心理を突いた素晴らしい交渉です。
1つ言えることは人間誰しも自分の存在価値を認められて、共感が得られなければ中々心を開いてコミュニケーションするのは難しいということですね。
まとめ
世界最高峰のハーバード流交渉術は一見、とても論理的に相手を論破する技術のようなイメージを持っていましたが少し違う感じでした。
基本は人間心理に基づいた戦略で、決して論議に勝つか負けるかの短絡的な発想ではありません。自己主張するだけではなく、お互いの主張の「 利点 」に焦点を当てて共通の利益を見出していくWin-Winの関係を追及していくという姿勢です。
要は人の感情VS感情なんですね。人間は感情で動きます。
人を制する者は交渉も制する。。
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