戦力外通告 とは・・『 選手本人にチームの戦力構想にないから来季は契約しないことを通告 』すること。
要するにクビを言い渡すことです。
そんなの突然言われたらショックですよねー!
夢を抱いて入ったプロの世界で誰しも「 来年も頑張ろう!」「 来年こそはやってやる!」と思っているところに『 あなたの実力ではもう要らないですよ。』と宣告されて野球を奪われてしまうのですから・・・
他球団からのオファーがなければ、新たな職を探して第二の人生を模索しなければなりません。
新たな戦力が入ってくれば、それだけ放出される人が出てくる弱肉強食の世界 ですから仕方ないですが、毎年全12球団で100名以上に戦力外通告が出ています。
気になるのは戦力外になった選手のその後、進路はどのような現状なのでしょうか?元プロ野球選手として第二の人生を深掘りしてみたいと思います。
目次
戦力外通告 その後の現状
引退を余儀なくされる選手の大半は、まだ20代の若者です。( 平均年齢は 29歳 )
そして平均在籍年数は 約9年です。 それだけ現役でプレーできる期間は短いんですね。
『 チャンスを活かせなかった 』『 ケガに泣かされた 』など力がありながらも不運に見舞われるかもしれないし、いつ何があるかわからない不安定な世界です。
結果を出さなければ、いつまでも二軍の最低年俸440万円を保証してくれません。
引退した選手の約半分は、そのまま在籍していた球団の職員に残っています。独立リーグや実業団チームで野球を続けるのが約20% 。それ以外の約30%は、自分で商売をはじめるか一般企業に就職をしています。
球団職員と言っても毎年たくさんの選手が戦力外になる訳ですから、いわば一般社会に出るまでの育成期間みたいな感じですかね。裏方で長く続ける人もいますが少数です。
中には『 どうしても夢を諦めきれずに、まだ日本プロ野球でやりたい!』とトライアウト に挑戦する選手もいます。
トライアウトについて詳しくはコチラの記事を参照してみてください。↓↓↓
野球トライアウト2020は意味ない?新庄復帰の理由や結果になぜの声も!
セカンドキャリア 危険な2つの不安要因
子供の頃から野球という1つのスポーツだけに邁進してしてきた背景 があります。
野球の世界とはまた異次元な実社会で、戸惑うことも多いと感じます。社会人野球出身の選手ならまだ経験がありますが、高校・大学からの選手は、学生生活からそのままプロに来たのですから何事も初めての体験になるはずです。
引退した後の仕事や生活に不安を抱いている割合は60%以上 とのアンケート結果もあります。それはそうですよね・・・いきなり違う世界で『 頑張れ!』と言っても中々、気持ちの切り替えができるものでもありません。
過去一流だった選手が社会に馴染めず、犯罪に手を染め脱落していったエピソードも少なくはありません。
その要因となる1つが・・・
プライドを捨てきれない
『 俺はプロ野球選手だった!』というプライドが社会では邪魔になるときがあります。そりゃ会社なんかでは話題性で一目置かれるでしょうが、仕事はもう野球ではないのです。
大半はやりたくないことではないでしょうか?しかも右も左もわからない1番の新米です。1から教えてもらう立場で指図されることも多いでしょう。そんな時、、
長い間、体1つ実力で勝負してきた習性 がムクムクと芽生えてきます。
『 畜生!悔しい、やってられるか!』っていう感情を押し殺せなくなってしまうんですね。
特に野球人は、年下からタメ口や命令されたときは腹が立つんです。
野球界って年齢社会ですからね。
今の少年野球はわかりませんが、まだまだ根強くその名残は残っているような気がします。
いくらチームの主力選手でも、歳が1つでも違えば二軍選手や裏方さんにでも全て 敬語 です。往々にして会社なんかでありますが、年下の上司に生意気な口を叩かれたときなんか最悪です。
気持ちを切り替えて我慢して頑張るしかないんですけど、、プライドが邪魔をするんですね。特にドラフト上位で注目をされて入団した選手なんかは、騒がれてプライドも高いですから難しいところです。
『 投げて、打って勝負に勝てばいい。』という世界から理不尽なことでも頭を下げなければいけない社会に対応できなくなるケースです。
そして、もう1つの要因が・・・
金銭感覚
身の破滅を招いてしまう大きな要因は、やはり金銭に関わる問題でしょう。
前述しましたがプロ野球二軍でも440万円の最低年俸は保証してくれますので野球だけに没頭できて、一軍経験がない場合でも平均すると500~600万円の年収はあると思います。
一軍で活躍していた選手なんかでは、数千万、億の金額を稼いでいます。それが一変して一介のサラリーマンの給料になるのですから金銭感覚のギャップが生じるのは無理もありませんよね。
入りたての新入社員に月4、50万円の給料を払う会社は、よほどの専門的な技術やスキルを持ち合わせていなければありません。
今までの現状以下の待遇に、自分を抑制できなくなるケースが多いと感じます。
引退後、華やかな世界からの転向で不安視される2つの大きな要因を挙げてみましたが、これはプロ野球選手に限らずとも、常に人生の歯車を狂わす要因が潜んでいるということですね。
皆が皆そうではなく、しっかりと気持ちの切り替えをして頑張っている人達が大半なのですが、育ってきた環境と現状でその危険性をはらんでいる確率が高いことは間違いありません。
でも野球という競技人口の多いスポーツで、競争に勝ち抜きプロ選手にまでなったポテンシャルは次の分野においても遺憾なく発揮されることでしょう。
なぜなら・・・ その根拠は
一流アスリートは優秀脳 ⁉
『 ビジネスでの成功はスポーツより簡単だから 』。
ここでは能力開発で名高い 西田文郎著『 No1理論 』から参考にします。
『 スポーツで凄くても他の分野ではそんなにうまくいかないのでは?』とお思いでしょうが、実はまったく逆なのです。西田氏の手掛ける能力開発法を色々なジャンルに応用したそうですが、その中で1番苦労したのがスポーツだったと。
東大に合格したり、一流企業に入る人は頭が良くて、スポーツができても勉強ができない人は頭が悪いと考えるのは大きな誤解なんです。
事実、スポーツで一流になるには、東大に合格するより遥かに難しい脳の作業をしなければなりません。
それは心・技・体 3つを必要とするから。
- その競技に相応しい 体力 を作ること。( 苦しいトレーニングをプラス思考でやってきた人たち )
- 技術習得 が必要( 右脳のイメージ力を働かせて、技能記憶として脳に定着させたものを再現させる。それを全身の筋肉に指令を出すのは脳の作業。)
- 心理的強さ が必要。( メンタル・コンディション )
体力・技術・心理面の3つを鍛えなければいけません。ところがビジネスマンや経営者・受験生は、体力も技術も極端に鍛錬する必要はありませんね。
それだけ簡単に成功できるということです。
日本野球界の最高峰までいった選手たちには、十分そのポテンシャルは備わっているはずです。それを転換するだけなのです。やはりメンタルが重要になってきますね。
戦力外通告 その後 まとめ
ここでまとめてみます。
- 毎年100人以上が戦力外通告を受けている。
- その後の進路は、球団職員・他リーグへの移籍( トライアウトに挑戦)・起業する・一般企業に就職
- プライドと金銭感覚が不安要素。
野球人にとってプロ野球選手ってヒーローなんです。
たとえ一軍で活躍できなくともプロの世界に入れただけでも凄いことだと思います。だってほとんどの人は夢を描きながら実現することなく野球を辞めていくのですから・・・
『 プロ野球選手だった。』ということは胸を張って言えることです。
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