桑田真澄氏のトークライブにZOOMで参加しました。
高反発マットレスのライズTOKYOが主催する『 健康睡眠プロジェクト 』のスペシャルパートナーとして『 スポーツパフォーマンスと睡眠 』のテーマで1時間ほどでしたが、パフォーマンスアップにはコンディショニング、とりわけ睡眠がいかに重要な要素かがわかりました。
桑田投手というとPL学園時代、5季連続甲子園出場( 甲子園通算20勝 )2度の優勝投手となったのち、読売ジャイアンツのエースとして通算173勝を挙げた名投手です。巨人軍を退団後、NBLピッツバーグ・パイレーツに入団、メジャーリーグのマウンドも経験しました。
現役当時から独特な野球理論を持ち、ストイックなまでのコンディショニングを実践してきたというイメージがあります。
その投球の凄さは絶妙なコントロールと球のキレにありました。
実は私、桑田投手と同じ年で同じ時代に高校球児として切磋琢磨しておりましたので、その節は甲子園大会でPL学園と対戦しバッターボックスで実際の球を体感していますから、その球の威力と精密さは凄いものでした。
そんな感慨深い存在である大投手の『 狙ったところに投げる技術を追及したピッチング 』の真髄を桑田氏の数々のコメントを参考にしながら、あらゆる角度から解明していこうと思います。
目次
コントロールを良くするコツとは
百獣の王・武井壮氏が桑田投手に『 コントロールを良くするためには何をしたらいいか?』を聞いたことがあるそうです。
『 コントロールは正直どういう能力なのか?』
『 桑田さんはどうやってコントロールを身につけたのか?』と。
その答えがこれでした。
『 これはトレーニングとかではないと思うよ。
これまでキャッチボール・ピッチングにしても、常にボールが離れる最後の最後まで狙ったところに投げようとしてきた。』
フォームを固めて一定のリリースポイントで投げる練習はしますが、『 疲労の具合やマウンドの固さ・傾斜でフォームは必ず歪む。歪んでしまうものに対してフォームだけでは対応できない・・・』と語ったそうです。
キャッチャーミットを狙うのが普通ですが、桑田投手は『 ミットの端の部分・真ん中・土手の部分と状況に合わせて投げ分けていた。そこまでしないと抑えられないピッチャーなんです。』と。
どんな状況でも『 狙ったところに投げよう。』とした回数が他の誰よりも多かったこと。
『 そういう野球人としての感覚、心理をかたくなに崩さず投げてきた。』ということでしょう。
普通は疲れてきたり、プレッシャーがかかる場面ではストライクが欲しくて、大体その辺に「 エィヤァ!」と投げてしまいがちですが・・・ まずはメンタル・意識の持ち方ということですね。
コントロールをつけるフォームのコツ
ピッチャーにとって最も大切なのは『 コントロール 』だというのが桑田氏の信条です。なので中学の時から
日米の一流ピッチャーに共通するポイントを研究してきたそうです。
合理的な投球動作の共通点を見出して、自分流にアレンジしていく。
要するに自分の感覚にマッチするものを取り入れていくことで、自分独自の感覚を追及していったのでしょう。
コントロールは様々な要因が絡み合いますが、この感覚というのが1番重要な要素だと感じます。
球速や回転数は一流ピッチャーと変わりなくても打ち込まれてしまうこともあります。
思い通りに投げれることが実現できないことが一流と二流を分けるポイントになってくるのは間違いありません。
なぜならコントロールがなければ配球の組み立てもできないからです。
狙ったところに投げれなければ、カウントを取る球、見せ球、勝負球を使い分けることができません。力だけではいずれバッターに合わせられてしまいます。
では、コントロールを良くする身体的ポイントはどういった部分なのでしょうか・・・
身体の修正力・バランス
『 コントロールを良く投げるには、常に一定の同じフォームで投げているからだ。』と思いがちですが、そうとは限りません。
その時の状況・・・マウンドの状態・疲労度・緊張感・はたまた風や湿気などの自然環境、どれをとっても一定の状況はないのですから。
そこでキャッチャーミットに収まるゴールまでの安定を常に一定にするためは・・・
フォームの再現性で面白い実験があります。
桑田投手を含む数人の投手の投球を超高速カメラで撮影して調べた結果、リリースポイントが1番ばらついていたのが桑田投手だったと。
これは何を意味しているのか?
フィニッシュ( リリース )するまでの間に身体のバランス、タイミングのズレを察知して調整しているのではないか。
同じフォーム、同じリリースで投げることではなく、とっさの異変に対して自分の身体を状況に応じて修正できる力が優れているのです。
つまりこれはバランス力です。
野村克也著書『 エースの品格 一流と二流のちがいとは 』の中でこんな一説がありました。
それは『 神様・仏様・稲尾様 』で知られる昭和の大投手、西鉄ライオンズの稲尾和久投手の精密なコントロールについての記述です。
『 彼の球は杉浦や江夏のような快速球、豪速球の持ち主ではなかった。その素晴らしさはコントロールの良さにあったのだ。数センチのブレもなく構えたミットにボールがやってくる。
私はその神がかり的な制球力に舌を巻いた。』
『 コントロールをつけることは、すなわちキレを磨くことと同義だ。キレの悪いボールしか投げられないピッチャーは、おしなべてノーコン揃いである。
コントロール=キレは、体のバランスが生命線である。
ならば上下半身、左右半身のバランスをとるために、まずはその中心である「 腰 」を意識するべきではないか。腰を中心とした投げ方をすれば、腕は振れる。腰が安定していれば、いいピッチングができるのである。』
稲尾投手こそが野村氏の目で見た最もバランスのとれたピッチャーだった。
別府の漁師の息子だった環境から、少年時代に小舟の上で櫓を漕ぎバランス感覚、腰の強さが自然と養われたというのは有名な逸話です。
やはり強靭な足腰、体幹の強さが必要なんですね。桑田投手も現役時代、馬のように走っていましたもんね。
ステップの位置を変える
技術的な面では、アウト・インに投げ分けるにはステップする足の位置を微妙に変えるそうです。
足の幅の半分もないくらい2~3センチの違いです。アウトを狙うにはアウト寄りに、インの場合はそれよりやや内側にステップするイメージです。その時、左肩は同じ位置( 開かないよう )に注意することが大切。
それともう1つ。軸足のプレート板を踏む位置を変えて、同じ位置にステップする方法。少しクロスファイヤーになる感じですかね。
この2種類を使って投げ分けていたのです。バッターからは全然わからなかったみたいです。
その現役時代のフォームを動画で見てみましょう。
やはり中心線がブレずに腰が安定していますねー。力みがなくしなやかなフォームです。
パフォーマンスアップさせるコンディショニング
冒頭で少し触れました【 スポーツパフォーマンスにおける睡眠の重要性 】がテーマなのですが、ことピッチャーのコントロールを良くする為に欠かせない集中力の向上において、質の高い睡眠はとても大切なポイントとなります。
主に睡眠によるスポーツパフォーマンスへの効能は3つ。
- 身体的なリカバリー・・・寝ている間にエネルギーを蓄えて、壊れた細胞を治してくれる。
- 学習・記憶の安定・・・スポーツにおいて頭と体に学んだ右脳記憶を睡眠中に整理、固定させる。
- 感情の安定・・・集中力の向上に繋がる。
スポーツをやっている上で、トレーニングや食事に関しては関心が高いのですが、こと睡眠は疎かになることが多いのではないでしょうか。
しかし、睡眠こそが上記のように肉体的・精神的に最善のリカバリーとなって、筋肉や神経を再生し強くなっていくんですね。
もう1つプレッシャーという問題に際して、プレッシャーのかかる試合の前日など中々寝られないことがあると思います。そんな試合前の睡眠不足解消のために桑田投手がやっていた対策とは・・・
『 2日前に長く寝るようにする。』こと。
そうすると前日に寝つけなくても『 前の日にたくさん寝たから大丈夫だ。』という気持ちになれ、すんなり眠れたそうです。
これは科学的にも『 スリープバンキング ( 睡眠の貯金 )』といって、予防的な睡眠を取っておくことによって精神的安定をもたらすそうですよ。
トレーニング・食事と共に、睡眠こそ力を発揮させるカギとなることを肝に銘じておきたいものです。
まとめ
桑田氏は40歳で現役を引退してから、早稲田大学院、東京大学院総合文化研究所で合理的な投げ方とコントロール、更に指導法まで科学的に野球の研究・勉強をしてきました。
普通こんな人いませんよー。
その傍らで少年野球や東大硬式野球部の指導も精力的に取り組み、現在は読売ジャイアンツの投手コーチですから凄い活動的といいますか・・・
野球という分野の奥義を極める技術者の境地ではないですか!
私は不幸にも同じ時代に生まれ落ちてしまいましたが、若き日に戻れるのなら 『 こんな指導者の下でもう1度野球をやってみたい。』と真摯に思いましたね。
ここでコントロールを良くするポイントをまとめておきます。
- どんな状況でも、ボールが指先を離れる最後まで『 狙ったところに投げる。』意識を強く持つ。
- 強靭な足腰の強さとバランス力( 修正力 )を身につける。
- 睡眠をしっかり取る。
ぜひ参考にしてみて下さいね。
それでは最後まで読んでくれてありがとうございました。
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